日本作家クラブとは

発足と名称変更 そして法人化

 1949年(昭和24年)7月、「捕物作家クラブ」として発足した。 初代会長は、「銭形平次」で知られる国民的作家の野村胡堂。2代目が「桃太郎侍」の山手樹一郎、3代目が「伝七捕物帳」の陣出達朗。1960年(昭和35年)に「日本作家クラブ」と改め、2010年(平成22年)に一般社団法人へ移行した。

初期を彩る文豪たち

 野村胡堂、江戸川乱歩、大林清、海音寺潮五郎、川口松太郎、島田一男、子母澤寛、陣出達朗、高木彬光、土師清二、長谷川伸、村上元三、山岡荘八、山手樹一郎、横溝正史、吉川英治…。初期は文豪が目立つ。著名な文学賞受賞者も多く、直木賞審査委員の半数を占めた時代もあるほど。中期にも、1988年(昭和63年)の第二次分裂前には、半村良、豊田行二、勝目梓、志茂田景樹らの著名作家も所属した。

サロン 「親睦とお祭り」の自由空間

 文芸団体にありがちな対立を意識してか、発足当初から「文壇党派的な一切を排除」。励まし合いながら切磋琢磨する。創設者、胡堂の希望だった。「純文学至上主義」とも一線を画す。その上で、「多彩な知識人を網羅して会員の親睦を図り、知識教養の向上と、理屈抜きのおおらかな遊びと実益を兼ねたおまつり行事を行う」とも。当初からの主催イベント、共同作業を行う精神的な「夢工房」の基礎にもなった。

公平・対等 “粋人”たちの 「デモクラシー」

 挿絵画家、編集者・出版人、芸能人、映画人、メディア関係、与野党、保革、左右・中道を問わない政治家、お役人、企業、各種団体の関係者、読者である庶民・大衆も分け隔てない公平・対等の精神に徹してきた。初期の会員には、国会議員も名を連ねる。 1949年(昭和24年)の「半七塚」除幕式には、会員や芸能関係者のほか、松竹の社長や大手出版社関係者や高級官僚などが列席。現職首相だった民自党の吉田茂総裁、左派きっての実力者だった社会党の鈴木茂三郎書記長からの花輪も。輻広さを誇った。

先達を偲ぶ 物故作家慰霊と文化継承

 「継承」あってこその文化。発足年の秋には、『半七捕物帖』作者の岡本綺堂にちなむ「半七塚」を浅草・花屋敷へ、野村胡堂没後の1970年(昭和45年)にも神田明神に「銭形平次の碑」を建立した。「物故作家慰霊祭」も行う。

昭和のサブカルチヤー 庶民に根を張る心意気

 気取らないのもクラブの特徴。当初、柱の一つは「捕物まつり」だった。役者、演芸家など、著名な芸能人の手助け、手ほどきを受けながら、「文士・画家劇」を演じたり、浅草の街を仮装行列するなどして大衆と共に楽しんだ。

ギネス級 前代未聞の超大型共同プロジェクト

 1951年(昭和26年)3月から、地方紙『京都新聞』に週一回、会員が交互に連作する異色の連載小説を共同執筆した。最終回は1960年(昭和35年)10月だった。なんと10年もの長きにわたり、235回にも及ぶ超大型専業だった。小説家三十数人、挿絵画家二十数人、計50人以上が合作したユニークさも作家クラブらしい。まさにギネスブック級の画期的な大仕事。時代劇映画の名優高田浩吉主演で映像作品となった同名映画シリーズも大ヒットした。

大衆文芸の普及と資金獲得を目指して

 1953年(昭和28年)に、『名作捕物小説集 捕物小説年鑑』(岩谷書店)、『捕物絵図』(東京文芸社)、1954年(昭和29年)に『捕物絵図』(東京文芸社)、1955年(昭和30年)にも『名作捕物小説集 昭和三十年度年鑑』を共同で出版。捕物小説の普及とレベルアップを図った。

受け継いだ心 社会奉仕の精神とチャリティ

 「文士・画家劇」の収益金を戦災孤児に贈るなど、発足当初から活動は奉仕の精神に富んでいた。山手樹一郎会長、陣出達朗会長、大林清会長の時代も、東京や地方都市で色紙展などを開いては売上げをチャリティに当てている。今も、東日本大震災の被災者支援など、創設者・野村胡堂の“心”からの社会奉仕の精神は脈々と生き続ける。

遊び心 結成当初の“香り”を今に残す

 会員の親睦を目的に、たひたび「歴史散歩旅行」と懇親イベント「四季の会」を開催してきた。結成当初からの特色「遊び心」の“名残り”と言える一面。主に“和の風情”を楽しむ。

新時代の志 70年目の飛躍を目指して

 2009年(平成21年)11月、前身「捕物作家クラブ」から通算して60周年記念講演会を開いた。20周年祝賀会は、改称後,活動停滞を打破する目的で開いた「日本作家クラブ創立大会」から丸20年の1983年(昭和58年)に。2013年(平成25年)は、胡堂没後50年かつ再生大会からも丸50年に当たる。2014年(平成26年)の通算65周年を迎える前に「野村胡堂文学賞」を創設した。賞の運営基金創設やクラブらしい野村胡堂や先達たちの勉強会も構想。新たな飛躍を期す。

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